15:シュガーレスキャンディ 2 / 10

 放課後にもなれば皆下校していて、ここにいるのは私たちだけだった。

「順調?」
「だとお思いですか」
「全然進んでないと思うー」


 何てこと言うんだ。その通りだよ畜生。
 登くんがギターを下ろして私の顔を覗き込んだ。


「ちょっとギター預かって」
「え、うん」

 ぽんとギターを置いた登くんが教室から出ていった。
 ギター持ってるなんて、余裕だなぁ。テスト近いのに。羨ましいなんて、皮肉だろうか。

 がたり。音が鳴って私はそちらに視線を向けた。
 登くんが早くも戻ってきた……わけではなく、そこにいたのはクラスメートの御小原凪くんだった。


「御小原くん、どうしたの?」
「ちょっと忘れ物……」

 やる気なさげな雰囲気を常に纏っている彼はつまらなさそうに足を進めて自分の席へと向かう。
 私の持っている大きなそれに目を奪われたのか、こちらを見て立ち止まった。


「……星尾ってギター、弾くの?」

 彼の目に留まったのは登くんのギターだ。




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