15:シュガーレスキャンディ 1 / 10 ぶつぶつぶつ。 怪しい呪文を唱えるように呟く私はさぞかし滑稽なのだろう。 「will……未来を表す……い、意思? 習慣?」 英語、訳分かんない。 ぐしゃりとページを潰すように捲る。自分の馬鹿さに泣きたくなってきた。 「ああああもおー……出来ないよぉー」 「星尾さん、教室で何してんの? ……3組から変な声聞こえてきてびっくりしたんですけど」 ひょこり。 私のクラスに現れた登くんはギターを背負っていて、眠たげにあくびをもらした。 変な声って、酷い。 「勉強……」 「テストの?」 「うん」 「ふぅん」 ぽつりとどうでも良さげな相槌を打って、教室に足を踏み入れる。 ≪≪prev しおりを挟む back |