12:パーカーヒーロー 7 / 7 「……先輩、今日はフェアリーテイルの活動あるんですか?」 「あ? 今日はねぇよ、馬鹿と広明がバイト……」 言葉を口にしながら、弥生先輩はにまりと笑った。 何か、悪戯を思いついたような顔だ。 馬鹿って香月くんのことかな、たぶん。 「おー、美幸放課後あけとけよ」 「え、あ、はい」 ……たぶん2人のバイト先に邪魔しに行くんだろうな。 玄関について、私たちは傘を畳む。 弥生先輩はシンプルな黒い折りたたみ傘を乱雑に畳んで靴箱に突っ込んだ。 「じゃ、後でな。連絡するわ」 「はい、また後で」 弥生先輩は私に背を向けて歩き出す。 また後で、か。 フェアリーテイルと関わってなければ、弥生先輩みたいなタイプの人と仲良くなんて、なれなかっただろうな。 <next story*天然紳士はバイト中> ≪≪prev しおりを挟む back |