12:パーカーヒーロー 5 / 7 「しかし私を狙うなんて……変わった痴漢ですね」 「痴漢は見境なしなんだろ、若い女のケツとか足触りたい変態なんだろ」 先輩がケツって言った。ひっぷ。躊躇いもなく言った。 雨はやっぱり降っている。 寧ろさっきより天気悪いな。ザーザーぶりだ。 傘を差して学校の方へ歩き始めた。 「……弥生先輩暑くないんですか?」 皆薄着になる中、弥生先輩はまだ赤い。 赤色パーカーを身につけて、登校している。 とても暑そうで、不思議だ。 「いや、暑い」 「ですよね」 「そろそろパーカーも夏仕様にするべきだわ、クールビズするわ」 パーカーは譲れないのか。 「何か赤いパーカーに思い入れでもあるんですか?」 私の問いかけに、弥生先輩はぱちくりと瞬きをしてニンマリ笑った。 「赤色はヒーローの色だからな」 ≪≪prev しおりを挟む back |