12:パーカーヒーロー 1 / 7 たたん、たたん。 電車が揺れる。私は眠たくて目を細めた。 やだな。やだな、雨の日は。 始発駅からのくせに座席に座れない上にぎゅうっと押しつぶされる。 早く降りたくて降りたくて仕方がない。 ぷしゅう。 隣にあった扉が開く。 あ、降りたいけどこの駅じゃないです。学校の最寄駅で降りたいんです。お願いです電車さん下ろさないでください。 ぎゅうぎゅうの電車から追い出されそうになるのを必死に耐える。 ふっと腕が押されて、電車の中に戻ることができた。 私を押してくれたのは特徴的な赤色。の、パーカーを着た赤羽先輩だ。 「ありがとうございます赤羽先輩、おはようございます」 「星尾はよ」 ≪≪prev しおりを挟む back |