豊平がいちるを睨みつけていた。
いちるも負けないと言わんばかりに睨み返す。
「そういうオトモダチゴッコがムカつくっつってんだよ」
気が変わった。
そう言って豊平は自分のペンケースからカッターを取り出した。
「オトモダチ、傷つけたくないんだろ? じゃあ傷つけないでやるからお前、自分で傷つけろよ」
は? 何を言っているのか。
「……」
「リスカでも何でもいいから自分、刺せよ。ほら上位からの“命令”」
100円ショップで見かけるような、よくあるチープなタイプのカッターの刃をかちりかちりと出していく。
まずくないか。
そう思って立ち上がろうとしたら、先に隣にいた陽那が立ち上がった。
「豊平、女の子には優しくしないとモテないよ?」
冷静に、へらりと。
口出ししそうな田中は何故か口を挟まない。
にこにこ、笑っているだけ。
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