「1位に譲ろうか。五十嵐くん、罰ゲームは君が決めて」


 五十嵐は背もたれに体重を預けて天井を見た。
 どんな表情かまでは最後列からは見えない。



「……センセェ、俺のこと嫌いなら無視して構いませんよぉ?」
「1位へのご褒美だよ」


 胸糞の悪い褒美だ。


 あからさまに、五十嵐は。
 教室に響きわたるほど大きな舌打ちをかましてから体を起こした。


「しっかりと、罰ゲームになるようなことでね」


 あぁ、嫌いな五十嵐へのある種の嫌がらせなのか。


 五十嵐は誰かを救おうとはしない。
 逆に、誰かを傷つけようともしない。


 それが気に食わないから、田中は。
 無理矢理にでも、誰か……古屋さんを傷つけさせようとしている。



「あぁー、じゃ、まぁ、イタダキマスネ、その面白い特権」



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