じゃじゃんと口でつけた効果音とともに掲げられたそれはキラリと光った。

銀色のフープピアスは、歪むことなく形を保っていた。



いちるが中里にそれを渡すと、彼は顔を赤くしながら涙目で「ごめんね」と繰り返した。


ごめんねじゃないよ、こういう時は。
そう言うと、笑って
「ありがとう」
と言った。



「ふへー、臭ぁい」

「まさかいちるちゃんが自ら遊泳するとは……」


陽那が呆れたように笑ったのに、いちるが明るく笑い返した。


よぉし、といちるが明るい口調で喋り私たちを引っ張って歩き出そうとした。

手についた汚れが私たちに移る。



「アイスいこ、アイスっ」


「……この状態で?」



いちるのように濁りプールにダイブしてないとは言えど、こけだらけのプールに足を突っ込んでいるのだから臭い。


プールの近くの水場で流せば気にならなくなるだろうか。




「ジャージに着替えてくる!あ、中里くんも汚れてるね行こう行こう!」


「え、あ、う、うん」



いちるに引っ張られていく中里。

いちるは元気だなぁ、と視線で見送りながら考える。



「俺らはそこの水場で流そうかね」



陽那が自分の手の汚れを見ながらそう言った。

そうだね、いちるが戻ってくるまでゆっくりと綺麗にしましょうか。



水場に移動して水を蛇口から出す。

使われていなかったからか少しだけ錆くさい。



時期的にプールをそろそろ綺麗にした方がいいんじゃないだろうか。どうでもいいけど。




「あ、そうだ。アイス屋、中里も誘ってみようか」


というか、いちるのことだから着替えた後誘う……という名の元引っ張ってくるだろう。半ば無理やり。



まぁ、誘ってやらないこともない。だなんて陽那が上から目線でそう言った。


あんたは何様なのよ、と笑うと陽那も笑う。


置いてきた靴やら靴下やらがあるプールへと再び向かう。



ジャージ姿の明るい少女が、困り顔の少年を引っ張ってつれてくるのを陽那と談笑しながら待っていた。






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