私が探してるから「女の子がやってるのに俺やらないとかダサいデショ」とか言うのだろうか。
「なぁ、中里」
陽那がプールに手を突っ込みながら中里に声をかける。
中里は不思議そうに、怯えた顔を浮かべた。
「何で俺らのこと庇ったわけ?」
「そうだよ、知らない振りしてれば何も巻き込まれないで済んだのに!」
いちるの言葉に、中里は苦笑する。
手当てが終わったらしく、2人共プールに近付いてきた。
「そもそもピアスなんて、いくらでも代わりきくじゃん」
陽那、それ言っちゃ駄目だから。
お兄さんの、形見。
私が口を開く前に、中里が口を開く。
「兄ちゃんの形見なんだ」
二度目のその言葉は先ほどよりも落ち着いていた。
驚く2人にまた苦笑して、言葉を続ける。
「自殺したの、兄ちゃん、いじめが原因で」
いじめ。
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