痛みからか涙が零れる。
「はー、叫ばねぇの、つまらねぇな」
フープピアスを指でくるくる回しながら豊平は中里を睨んだ。
「あんたやりすぎだよ!頭おかしいんじゃないの!?」
「先生の話聞いてなかったんですかぁ?死ななければ何やってもここでは許されるんですぅ。頭弱いんじゃねぇのぉ!?」
くそったれ。
「……返、して」
中里が小さな声で呟いた。
視線を彼に向けると、彼はいつもの弱気少年と思えないほど、眉間に皺がよっていた。
豊平を、睨みつけている。
「返してよぉ!」
豊平が少し目を丸くして、ピアスを見た。
「何、これ大切なのか?」
「……そう、だから、返して……返せ!」
瞬時に豊平が拳を作って中里を殴った。
わざとらしい笑顔で、倒れた中里を見下すそいつ。
「返してください、だろ?」
手のひらの中に収まっているフープピアスを見ながらそう言った。
「おいおい、ちょいやりすぎだろ」
陽那が豊平を睨んだ。
「空気は黙ってろよぉ。あぁ、お前らは帰っていいぜぇ超野次馬じゃん」
「帰れる状況でもないんだケド」
本当だよ。
私らまとめて帰してほしい。
もう、いいじゃん。
疲れるわ。
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