「は?別に。ニヤニヤ気持ち悪ぃから」
冷たい視線を2人に向ける。
こいつは、誰が誰の上、とか気にしないのか。
自分が上だから全部一緒。
全員下。
それ以上でもそれ以下でもない。
「おーい、泣き虫ちび」
豊平はゆらりとこちらに視線を移した。
楽しそうに、笑顔を作るそいつ。
ゆっくりと、近付いてくる。
豊平は力強く私を押しのける。
豊平が中里の左耳
……フープピアスに触れた。
中里の体がびくりと揺れる。
「なぁ、何でこんな似合わねぇもんつけてんだ?」
「これ、は……」
豊平が、力を込めた気がした。
それは気のせいではなく、そいつは勢いよく下にピアスを引っ張った。
ピアスが、豊平の手の中に残る。
赤い、血が。
視界に映った。
「ひ、ぐ……」
中里の耳が千切れた。
中里は叫ばないように、声を抑えて。
手で耳を押さえて豊平を見ていた。
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