「うわ、汚ぇ」
「蹴りどころ悪いんだよー」
鈴木さんがけたけた笑う。
温度差が違いすぎて嘲笑が出る。
中里は、私たちに掃除を押し付けて、2人の目の届かない所に隠そうとしてくれた、らしい。
自分の印象を悪くしてまで。
……私たちを、守ろうとしてくれたのか。
仲が良いわけじゃない。
なのに、なんで。
クラスメートなんて、酷いものだと思わされるような状況なのに。
なんで?
「優しい中里に免じて、あんたでたーっぷり遊んでから3人で遊ぶねぇ」
「ふ、ぐ……おぇっ、げほっ」
「あーあ、また吐いた。汚ぇなぁ」
何で楽しそうなの?
人が苦しんでいるのに。
陽那といちるが、私に向かって何かを言っている気がしたけれど、わからない。
頭が理解しようとしない。
私の意識は、前の3人にだけ向いていた。
「自分で吐いたものは自分で掃除しろよ」
「そうだねー、床舐めて掃除しなきゃあ」
桜庭が中里の頭を床に押し付ける。
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