何かあったのか。
「……えっと」
泣き出しそうな顔で、戸惑った様子。
陽那は苛立ったように言葉を吐いた。
「……何?言いたいことあるなら言やいーじゃんか」
女の子に優しく男に厳しく。
陽那、歪みない。
陽那の言葉にびくついて、中里は唇をぎゅっと噛んだ。
「陽那くん、言い方怖いよ」
「……あー、ごめんごめん」
「あのね、トイレ掃除……代わって欲しいんだ」
ようやく彼から出た言葉は、それ。
「そ、掃除当番……?」
何かと思えば。
「い、いいよね……僕、3人より上、だし」
そっか、10位だからいちるよりも上だ。
「いいけど……」
中里はありがとうと言って道を引き返した。
掃除当番……
気が抜けるようなお願いだった。
「権限の使い方、しょぼくね……?」
「……きっと大事な用でもあるんだよ」
上位の暴力とか見てたら中々可愛い強制だな。
それでも、中里まで「上位命令」を使うようになるとは。
このクラスも段々染まってきてる気がする。
「……掃除してこよっか」
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