忠告
いつも通り登校した。



今日は資料集を必要とする教科が多く、更に体育があるため荷物が多かった。


重いけれど、学校に荷物を置いていくと無事を保証しかねるためこうして毎日持ってくるしかない。


……やることが陰湿なんだよ。





玄関をくぐって靴箱に向かうとクラスメートの姿。


龍ヶ崎奈緒【りゅうがざき なお】ちゃんだ。
順位は私の1個上。




「龍ヶ崎さん、おはよう」


靴を取り出しながら話しかける。


「……」

「……?」

「話しかけないでくれるかなぁ?下位のくせに」



見下すように私を見て龍ヶ崎さんは学校の中へと入っていった。

……順位1個しか違わないのに!



靴も持って帰った方がいいかなー、とか、考えながら履き替える。




どんと、誰かがぶつかってくる。



「……っ」

「あ、中里、おはよう」


怯えたような表情でこちらを見たのは、中里。


前もぶつかったよね、デジャヴ。




「ご、ごめん……」

「いや、私の方こそごめん。謝らなくていいよ」


謎の沈黙が発生する。

……き、気まずい。





「あの、さ……いっつも下見てあるいてるからぶつかるんじゃないかな?」

「そ、そうだよね……ごめん」



謝ってばっかりだなぁ、中里。



「んー、責めてるんじゃなくて……せっかく可愛い顔してるんだから、前見て歩いたらどうかなって」

「……え」



銀色フープのピアスが揺れる。


中里は男の割に可愛い顔をしている。

なんていうの、癒しタイプ?





あれ、でも男の子に可愛いって失礼なのかな?




「男の子に可愛いって褒め言葉だと思うんだけど」



1人でそんなことを考えていた。






「えっと……その、あ、ありがとう……」


ふにゃりと中里が笑う。

やっぱり、可愛い。



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