「脱げないんですか?」
脱がないんだよ。
脱げるわけないだろ。
罰ゲームはもっと、暴力的なものを想像していた。
斜め上を行った。
……暴力よりもきつい。
田中はため息を吐いてクラスを見渡した。
「……じゃあクラストップの五十嵐くん、脱がせてあげてください」
「えー?何で俺に罰ゲームが来るんですかぁ?」
「おや、そういうのは嬉しいものじゃないんですか?」
「まぁ……やろうとは思いませんけどねぇ」
くすくすと五十嵐は笑う。
「でも私は君に『命令』したんですよ」
田中の言葉に五十嵐は無言で立ち上がる。
「さぁ古屋さん、どうぞ前に」
ゆっくりと諦めたように古屋さんは歩き始めた。
馬鹿にするような笑い声が少し聞こえる。
「じゃあ、失礼」だなんて五十嵐は古屋さんに告げて、制服に手をかける。
五十嵐も。
古屋さんも。
なんでそんな平然としているのかがわからない。
おかしいのは……
……私なのか?
全てを脱がせた後、五十嵐は田中を見て溜め息を吐いた。
正直、視線をどこにやればいいのかわからない。
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