誰に対してもおどおどとした様子で、自分自身に自信がないように見える。
性格のせいか、大きく主張するフープのピアスは彼には似合うとは到底言えなかった。
中里に謝った後に教室から離れる。
……人数が少ないおかげで1人1人の特徴は掴みやすい。
というか、この教室は偶然にも個性の集まりだ。
教室に普通ならば数人だけいる、個性的人物。
それが1つの教室に集中した感じ。
例えば。
容姿がうり二つ、それでいてお互いの性別を主張しているため見分けやすい男女の双子、豆本ひかりと豆本ひかる。
肌が黒くて身長が高い。第一印象は怖いと感じるけれど性格を見るとすごくマイペースでおっとりとしている留学生のボブ・アシュレイ。
1人ずつあげていくとキリがなくなってしまうからここら辺で止めておくけれど。
人数が少ないクラスでこんなにも密集しているのも不思議だ。
まさか田中が企んで……なぁんて、ありえないか。
赴任してきたばかりの教師が生徒の性格を把握し、選ぶだなんてありえない。
そもそも、そんなことがありえたら無個性な私はここにはいないだろう。
普通の教室で生活を送ることができていただろう。
――世界は吐き気がするほどに滑稽で、嫌気がさすほどに奇っ怪である。
どっかの誰かさんが吐いた言葉通りだと思う。
こんなメンバーで、こんな担任に当たって。
わけのわからない制度に巻き込まれて、普通の生活を奪われる。
しかもその狂っている担任は金持ちで、他の先生は逆らうことが出来ない。
そんなことが
偶然で
運命で
……必然なのだとしたら。
[10/18]
[*prev] [next#]
[mokuzi]
[しおりを挟む]