終わって安心したのか。
できなくて嘆きたいのか。
みんなの心情は、わからないけれど。
結果は遅くとも今週末には出るんだろうな。
せめて場所が変わらなければいいけれど、だなんて無意識に考えてしまう。
なんだかんだ、下がることが嫌なんだ。
……20人中16位じゃ、順位が下がろうがたいしたことないんだけれども。
テストの日って1日が短く感じる。
もう、放課後か。
「……帰ろう」
部活になんて入っていないし、やることもないし。
教室で女子達と駄弁る楽しい時間もここには存在していない。
さっさと帰って家でのんびりするに限る。
ドンと、教室前で誰かとぶつかった。
ぶつかったその人の左耳につけている銀色の大きめフープのピアスがきらりと光る。
「……わっ」
その人は教室前で他のクラスの友達と話していたようで、数個の目の視線が私に向いた。
「……あ、ごめんね。磯村さん」
「ううん、前を見てなかった私が悪かった。ごめんね、中里」
中里……下の名前は確か、弘信。
そうだ、中里弘信【なかざとひろのぶ】だ。
順位は……いちるの前の席に座っていたから、10位のはず。
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