2人が出て行く。
途端に豊平が机を蹴り飛ばして笑った。
机には何も入っていなかったのかがんと鉄の音だけが響いた。
「あー……」
冷めた視線でゆっくりとクラスを見渡す。
楽しそうに、ニヤニヤとしながら。
「下位は上位に逆らえねぇ」
確認するように昨日の言葉を反復したそいつ。
次に豊平の視線が向いたのは、彼の隣の席。
安藤さん、だった。
「おい、安藤」
「なんなの豊平黙れば」
何かを気にするわけでもなく興味があるわけでもなく。
そんな様子で安藤さんは豊平に視線を向けることもなく言い放つ。
乱暴に豊平は安藤さんの綺麗に結ばれていたネクタイを掴んだ。
うわ、ちょ。
女の子に暴力を振るう気か。
気が短いにもほどがある。
「……ちょっと。痛いんだけ……っ」
半ば無理矢理。
2人の唇が重なった。
……え?何?
豊平が安藤さんのこと好きだったということですか?
告白できなくて、今の制度利用して気持ちを伝えた的な?
「豊平が麗奈ちゃん好きでしたー……なんてオチなら良かったのにね」
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