「んだよ、何か言いたげだなぁ?」
「ひっ……」


 目が合ったらしい堀田さんに豊平が近付いていく。
 何か言いたげなんて、標的にするための適当な言葉付けなのだろう。


 今日の標的はこいつだと言うように。近付いては力加減もしらない猿みたいに、視覚でも分かるくらい堀田さんの腕を強く掴んだ。


 堀田さんの表情は段々と死人みたいになっていく。
 今日の犠牲者は自分だと、理解していく。

 私は立ち上がって2人に近付いた。



「……やめなよ、豊平」
「あぁ?」

「やめてって言ってんの」
「なぁんでお前の言うこと聞かなきゃなんねぇの」


 睨み付けてくるそいつを、負けじと睨み返す。
 教室は行方を見守るように静かになって、雨が窓に当たる音さえも聞こえてきそうな感覚だった。


 明かりがついているはずの教室は、やけに暗く感じる。


 私は虚像的に与えられた立場を、最低な人間のように振りかざす。


 同じだ。
 私も子供ながらに与えられたものを嬉々として振りかざしている、目の前の男と同類なのだ。



「今は私が1位だから、逆らえないよね?」

「……偽物トップが何言ってやがる」


[4/7]

[*prev] [next#]
[mokuzi]
[しおりを挟む]
「#お仕置き」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -