よく言うよ。
「てめぇが後ろにいることも不思議でならねぇけどな」
「休みを寝て過ごすとこんなにも成績が下がるものなのだね、いやぁ、これは驚いたぁ」
ほんとに、よく言う。
というかそれは私の成績を馬鹿にしているのか?
深く息を吸って、吐き出す。
ここはすごく、居心地が悪い。
嫌悪。
恐怖。
怯え。
様々な負の感情が向けられるのだ。
下位になればろくなことしかないと思っていた。
それでも、上位もろくなものではないことがここに来てわかる。
五十嵐と、目が合う。
彼はにっこりと薄い唇で弧を描いて笑った。
よく、わかるよ。
わかる。
五十嵐は楽しいからとか、そんな適当な気持ちでこの選択をしたんじゃないんだ。
あいつは、きっと。どうして私なのかという理由に関しては“興味深い対象”だからとかいうわけのわからない理由なのだろうけど。
きっと下位に……私に。
上位の気持ちを知らせようとしていたんだ。
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