今日はテストだけだから、もう帰宅してもいいのか。


「明日が楽しみだぁね」
「だから、嫌味かよ」

 陽那の言葉に、五十嵐がにんまりと目を細めて笑った。







――







 テスト返却日。
 ざわりと教室が騒がしくなる。

 それもそうだ。

 新しい席順。私と五十嵐の予想通り、他にとってはあり得もしない出来事。


 私が1番前の列で、五十嵐は1番後ろの列に座っていた。


「……どういうこったこれは」

 嫌そうに、隣にいた豊平が私を睨み付ける。
 あぁそうか、1位ってことは豊平が隣になるんだ、考えていなかった。嫌だな。


「どういうことだぁ? 颯ぇ」
「さぁ? 香恋ちゃんが長期休暇中に血の滲むような、俺らじゃあ到底想像することもできないほどの努力をしたんじゃないかなぁ?」



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