そうしたら、案の定。
 そいつは傘を差すこともせずにブランコをこぐこともせずにただ座っていた。すごく不気味な情景だ。

「傘は?」
「やぁ、雨が降るなんて予想外でねぇ。持ってきていないんだ」

 濡れることも気にする様子を見せずそいつは笑う。
 近くのファストフード店にでも入ろうか。


 とりあえず五十嵐にそう告げて近くの店へと向かう。
 私たちが入ると店員さんはびしょ濡れのそいつに嫌そうな表情を向けながらもタオルを貸してくれた。
 気持ち適当にハンバーガーを頼んで奥の目立たない席に座り込む。


「で、話は?」
「あぁ、そうそう、明日から学校が始まるでしょう?」

 五十嵐はタオルで頭を拭いてから肩にそれを掛ける。

「当然のように休み明けテストなるものが早々行われるわけでぇ」
「そうね、あんたは勉強しなくていいわけ?」
「俺は構わないよ、一夜漬けする人間じゃあない」

 ……規則的に勉強してるタイプなのか。意外。
 天才タイプだから人と同じくらいやれば何倍もできるようになるイメージだけど。



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