『いやぁ、メール送ってから思ったんだけどォ、香恋ちゃんってぇ、メール無視しそうだしぃ、電話してみちゃった』
「誰でもあんなメール無視するわ」
アドレスやらはおそらく焼き肉の日あたりに誰かに聞いたのだろう。
けらけらと聞きたくもない声が耳に残る。
「何か用? 私はあんたの声なんて1秒でも長く聞いていたくないんだけど」
『急いては事を仕損じるぜ? 俺は君とゆっくり話をしたいのだけれど。今はお暇かな?』
「あんたのために割く時間はない」
『あぁ、暇なんだね。じゃあ俺は学校の近くの公園で待っているから、是非来てほしいね』
そういって、ぶつりと切れた。
迷惑この上ない電話だ。五十嵐から電話がかかってくるなんて。
行ってやるものか、絶対に。
……絶対にだ。
――
―
…
「で? 話ってなによ」
「あぁ、来てくれたんだね、やはり君は面白い子だ」
結局雨が降り出してきて、それでも待っているのかと考えたらとりあえず少し寄ってみようとか考えた。
あくまでもついでだ。私は買い物に行こうと思っていただけだ。
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