「クラスメートと騒げるような日常が、当たり前になればいいのにね」
そんな当たり前のことを望まなければならないほど、私たちの日常は非日常的で。
当たり前が当たり前じゃない。
「まぁ、平凡な日常なんてすぐ訪れるさ」
五十嵐がからりと笑う。
ボブがやけに口惜しがってるから五十嵐が勝利したのだろう。
「そう? すぐって2年後の話?」
「いいや、すぐはすぐさぁ。短気は損気、少しだけでいいから待ってみるといい」
本当、こいつは何が言いたいのかわからない。
「まぁ、その日常が訪れるとすれば――」
五十嵐は言葉を止めて、口を閉じた。
「まぁ、いいか。みぃんな普通に、生活してればいい」
含みのある言葉はやめてくれませんかね、気になるから。
何者なんですかね、あなたは。
「じゃあ、明日のバーベキューは3時集合でよろしくねぇ」
ひらり、手を振ってそいつは神社の敷地外へと歩いていく。
最後のたこ焼きを口に入れて、私はごみをごみ箱へと投げ捨てた。
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