「せっかく午前で終わったし、どこか行こう!」


 あの日からいちるはもとに戻った。
 ……いや、もとにではないか。陽那との関係が進んだ。
 仲睦まじいのは良きかな。でも人の前でイチャイチャするのはやめてくださります?困ります、私とヒロが。


「かーれんちゃん。遊びましょー」


 ほとんどの生徒が帰った中、へらりと笑って近付いてきたのは五十嵐だった。


「誰があんたと遊ぶと思うの?」
「あらら、振られた」


 相も変わらず笑顔のままで、くるりとヒロを見つめる。


「じゃあ弘信くん、遊びましょ?」
「え、あ、僕?」
「ヒロもあんたとは遊ばない」


 私の言葉に五十嵐が口をとんがらせる。可愛くもなんともない。
 五十嵐の後ろではボブが首を傾げていた。


「じゃあ仕方ないなぁ、上位命令だ。『明日の買い出し手伝って?』」
「もう夏休みだから聞く必要ないんじゃない?」
「残念ながらここはまだ学校なんだぜ?」



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