バ可愛い人ばかり?3
えぇ!?とみんなが驚いたような顔をする。
というか声を上げた。
「なにそれ!?面白い!」
面白くないし!御門くんなにそのお気楽な考え!!
「あとの2人は会長と、黒松」
「黒松?」
「嫌味の後輩」
「あぁ、あのお坊ちゃんねぇ」
有名なんだ、未来くん……
てことは、この学校じゃ3人とも有名なんじゃ……?
御門くんが理解したように手をぽんと合わせて私たちを交互に見た。
「じゃあ俺たちは蓮ちゃんを応援するね!」
……はぁ?
「応援って。……なんか、言うのも変だけどよ、お前ら、学校たった1人の女子を手に入れようとかいう考えねぇの?」
「ないだろ。もう相手決まってるような女子なら」
クラスの人たちがうんうんと頷く。
よし、これは
女として見られない=恋愛に発展しない
という流れ?
恋愛に発展しないなら仲良くしたい、うん。
せっかく同じクラスだしね。
自意識過剰かもしれないけど。
女子1人とか、恋愛感情持たれたりするかな、って思ってたし。
『じゃあ、みんなよろしくね?いや、蓮を応援するのは必要ないけど』
「仲良くなってくれる気になったの?よろしくね!!」
御門くんがにっこりと笑って私に抱きついた。
「あぁ、妃代先輩A組でしたか」
ドアの方から聞こえてきた声は……忘れはしない毒舌少年。
「すみません。そこの軽そうな先輩、妃代先輩を離してくれませんか?僕のものなんで」
なんでいるの?今1時間目なんだけど。
授業中なんだけど。
「出たな、黒松!いっけー蓮ちゃん!やっつけちゃえっ!」
やっつけちゃえっ!って、未来くんいきなり悪役になってるよ。
蓮呆れてるよ。
御門くんも馬鹿なの?
未来くんは馬鹿にしたように鼻で笑って教室に入ってきた。
そして、私の手をギュッと握った。
全員ベタベタベタベタと!!
この学校の人そんなにスキンシップを交わしたいの?
「先輩、ランチしましょうか」
『すみません、ここはバカしかいないんでしょうか?』
誰か!誰でもいいから答えてください!
いま1時間目!!morning!!
どっちかというと朝ごはん!
「馬鹿とは失礼ですね」
『いや、まだ朝なんだけど未来くん?』
くすりと彼は笑って手の力を強めた。
「分かってますよ。沖縄料理、食べたいなぁと思いまして……行きませんか?」
ど こ へ い く つ も り ?
私の考えていることがわかったのか笑いながら口を開いた。
「沖縄に行くに決まってるじゃないですか。フランス料理とかにしときます?」
確かにちょうどお昼頃につくかもだけど……
『フランス料理食べたいって言ったらフランスまで食べに行くの?』
「もちろんです。日本で作られたら日本料理でしょう?」
不思議そうに言ってるけど私からしたら未来くんが不思議だよ!?
日本で作ってもフランス料理はフランス料理だから!
みんな驚いてるから!!未来くんのぶっ飛び具合に!
「おい、黒松。いい加減に……」
「あぁ、蓮先輩いたんですか。不良のくせに空気とかやめてくれません?なんか面倒くさいです、キャラが」
「誰が空気だ!」
「貴方です」
未来くん、そこは返さなくていいと思う。
『未来くん。悪いけど、私お弁当持ってきてるから』
「そうですか、なら僕も弁当で我慢しましょう」
持ってるなら弁当食っとけよ!
「一緒に食べましょう、妃代先輩?」
ニコニコと手を離す様子がない未来くんに私は思わずため息をついた。
これは「お昼一緒に食べると言うまで離しません」ってことだね。
『いいよ』
「ありがとうございます」
「……俺も混ぜろ!昼っ!」
『え?あー、いいんじゃない?』
どうでもいいや。
未来くんはようやく私の手を離して蓮に向き直った。
「蓮先輩、わかってます?」
にやり、と未来くんは笑って蓮を見上げた。
「妃代先輩は僕を好きだけど2人が可哀相だからまだこのゲームに付き合ってあげてるだけなんですよ?」
1日でなにがあったんだろうこの子の脳内。
大丈夫?本当に大丈夫?
馬鹿なんですね、わかります。
蓮が呆れたような表情で未来くんを見た。
「……って言ってるけど?ひよこサン」
『ちょっと脳の成長期で記憶でも飛んでるんじゃないかな?』
「だよなぁ」
「脳の成長期ってなんですか、僕は正常です。蓮先輩ごときが僕を馬鹿にしないでくれます?」
あ、私に毒舌飛んでこなくなった?
そう思ってると未来くんはくるりと私の方をむいた。
「そして妃代先輩じゃありませんから馬鹿じゃないです」
微妙に毒舌飛んできた!油断してたから心に少し刺さった!
クラスの人が何人か「阿呆らしい」と思ったのか別のことをし始めている。
御門くんは楽しそうにこちらをガン見してらっしゃるけどね!
1時間目終了間際に岩倉先生ご帰還。
岩倉先生によって未来くん強制的に2−Aからログアウトしました。
お昼は逃げようと試みたけど、昼休み始まるやいなや蓮に確保されて
会長も何故か出没して
みんなで学食のところで食べたよ。
あ、日記とか言わない!
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