Ren-2
『うーん、どこにしよっか』
そうか、時間的にお昼ちょうどいいか。
ここら辺って何あったっけ?
「そうだな、食い放題とかどうよ」
『お昼から?』
「ダラダラすんのにちょうどいいだろ。すんげぇーよ、無制限で食い続けられる場所あんだってよ、3時くらいまで」
いま12時前だから……3時間くらいその場所にいられるということか。
飽きたら他の場所に行けばいいしね。
『じゃあ、そこにしようか』
「あー、名前なんて店だったかな……ちょっと遠いけど、確かJR駅に入ってんだよ」
わからないのか……
誰かに聞いた話なのかな?
『じゃあ私ちょっと調べるね』
「おう、頼むわ」
自分のケータイを取り出してネットにつなぐ。
なんて調べれば出るかな……
駅名と食べ放題……ビュッフェとか書けば出るかな。
何個か検索項目を変えながら検索していく。
それっぽいのを見つけて連に告げる。
『ダンデライオン?』
え、ライオン?百獣の王?
「あぁ、それそれ」
『がっつりお肉系いっぱいおいてありそうな店だね』
「……ダンデライオンはタンポポだからな」
まじですか。
しばらく車で談笑しながらの移動。
着いた駅は大きいし夏休みだしで人が多い。
……普通の日でも多いけど、今日はまた多いですね。
「何階だ?」
『えーと、8階』
エレベーターの方が早いね。
2人でエレベーターのある場所まで歩く。
エレベーター前に到着すると、蓮が何かを見つけたのか「お」と声を上げた。
「おい、加賀?」
その言葉に振り向いたのは、女の子。
同じ学校の子だろうか。
……なんていうか、綺麗な人だ。
髪の毛さらさらで綺麗な黒だし。
む、胸もそれなりにあるし。
私まじストーンはいスットーン。
絶壁。
……くそ。
「あ……蓮くん」
名前呼び。
まぁ、蓮フレンドリーだし?
仲良くなれるだろうけど。
……なんだかモヤモヤする。
うわ、私ちっさい。
すっごく器が小さい人間じゃん。
「その子は?」
ニコリ、と綺麗に笑う。
私より小さいのに、私より全然大人っぽい。
……小さいっていってもそんなに差はなさそうだけど。
ぎゅ、と服の袖を掴むと蓮がなぜか笑う。
「カノジョ」
「へぇ!可愛い彼女さんだねぇ」
そうです、私は彼女なんです。
可愛い人に可愛いと言われても素直に喜べない。
エレベーターの扉が開く。
エレベーターが来たみたいだ。
大勢の人がエレベーターに乗り込んだ。
「加賀さん」は4階で降りた。
服を見に行くだとかなんだとか。
「あのな、加賀、彼氏いるから」
『まぁ、綺麗だもんね』
「だから心配すんな」
『……してないし』
私の言葉に蓮が苦笑する。
嘘だってバレバレだ。
8階にエレベーターは到着した。
食事所がたくさんある階だからか、たくさんの人が同じ階で降りた。
「お、あそこだ」
あ、まだあまり並んでない。
ラッキーだ。
通された席は窓から街並みが見渡せる席だった。
おお、綺麗。
『すごい天気いいから景色いいねー!』
高いビルがいっぱいだ!
「おーそうだな」
『よし、食べ物取ってこよう!』
「食いもんは逃げねぇから落ち着けよ」
わかってますよ。
でもバイキング形式ってわくわくしちゃうんだよ。
たくさんの食べ物を取って席に戻る。
「お前、取りすぎだろ。いっぺんにそんな取ってくんな」
『蓮のそのピザおいしそうだね!』
「そんなに取ってきた上にそのセリフか!?」
ぶは、と笑って蓮がピザを手に取って私の前に持ってきた。
「ん」
遠慮なくぱくりとそれを口に含んだ。
『んー、美味しいここのピザ』
「ヒヨコの餌付け」
『ヒヨコじゃないっ!』
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