「初めまして、真琴ちゃん」
「は、はじめまして!」
幼いながらにびびっ!と来たのはよく覚えている。
兄が中学へ進学する前に私たち高橋一家はお引っ越しをした。
そして、兄は中学の友人をよく我が家に招いていた。
彼も、その中の1人だった。
ぴんぽん、と家のチャイムが鳴る。
お兄ちゃんに「真琴出て」なんていわれて急いで出た。
少し前からよくきていた晃くんが楽しそうに引っ張ってきたのは、初めて見る人で。
「大河ー!瑛太も遊びてぇっつってたから連れてきたわー」
「おう、あがれあがれ」
初めてのその人はにこりと私に笑って、はじめましてを告げる。
「そーかぁ、この子が大河自慢の妹さんかぁ」
「可愛いだろ!」
「シスコンうぜぇな」
「いやでも、俺もこんな妹いたら自慢したくなるわぁ、めんこいめんこい」
ふにゃっとその人は私の頭を撫で回す。
初めての人なのにやけに安心する手のひらだった。
「すき!」
「ん?」
「え」
「はぁ!?」
目をハートにしながら私が目の前の男の人に告げると、首を傾けた。
ふふ、ありがとう。と笑って私の頭を撫でる。
あ、恋愛だと思われてない。
晃くんも懐かれたな、なんて笑っていた。
むむむむ!
毎日毎日。
「えいたくんすきー!」
「うんありがと」
くるたびくるたび。
「えーちゃん!えーちゃん!すき!」
「そーお?俺も真琴ちゃん好きだよー」
「瑛太許さん」
何年も、何年も。
「えーちゃん!好き!結婚しよ」
「おっきくなったらね」
思いを告げていたはずなのに。
冗談のようにながされる。
そのまま、アタックし続けて数年。
何回かえーちゃんの彼女を見たけどめげずに数年。
大学生活を続けるえーちゃんと、高校生になった私。
昔よりは遊びにくる頻度は減っていたものの、まだ3人の友好は続いていた。
「えーちゃん来てる!えーちゃん好き付き合お!」
黙ったえーちゃんは呆れ顔で私を見る。
「……あのね、真琴。もう高校生なんだからふざけてないでいい人見つけな?」
「ふざけてないよ!私えーちゃんが好き」
私のその言葉に、やっぱり呆れ顔だ。
まだ、本気だとわかってくれない。
本気なんだって、思ってくれない。
それでもめげない。
私は、想いが伝わるまでアタックし続けてやる!!
認めさせてあげる