ぴんぽん。
軽いチャイム音が響いた。
えーちゃんは音に反応して玄関へ向かう。
お出掛けも終わって、のんびりしていた所だった。
……ご近所さんかな?
はっ、ご近所さんなら挨拶した方が良いかな。
玄関に早歩きで向かう。
「初めましてー、この度引っ越してきた瑛太の嫁ですー」
「は?」
「ん?」
「あっ」
玄関に立っていたのは、私も知っている人物だった。
と、言っても6年ぶりくらいだ。
この人は、えーちゃんやお兄ちゃんみたいに就職から上京したわけじゃなくて、大学生になるときから上京した。
「晃くんじゃん」
えーちゃんとお兄ちゃんの高校の友達の桜橋晃くん。
よくうちに遊びに来ていたから私とも仲が良かったり。
ゲームの趣味が合うんだよねー。
受験期までたまにメールとかもしてたしね。
「おー真琴?こっち来てたんかぁ」
「うん、今日から」
「おっきくなったなー」
ぽんぽん、と頭を叩かれる。
えーちゃんほど背は高くないけどむしろ男の人にしては少し低いイメージはあるけど。
晃くんの手は大きくて安心する。
……1番好きなのはもちろんえーちゃんの手ですけどね!
「最近家帰ってもお前んち遊びに行かなかったからなー」
懐かしげに笑う。
上京してからも仲良くしてるんだな、お兄ちゃんもかな?
お兄ちゃんだけ仲間外れとかだったら憐れむしかできない。
「あー、晃さぁ、夜食ってけば?折角こんなにもらったし」
そういったえーちゃんの手にはビニール袋。
中には沢山の野菜が入っていた。
実家から送られてきたらしい。
晃くんの家は農家だから。
美味しいんだよね、晃くんの家の野菜!
「あー、どーすっかなー」
「彼女も呼んでさ。そうだ、どうせなら大河も呼んで真琴いらっしゃいパーティーすんべ」
お、お兄ちゃん!
良かったね、名前出たよ!
あぁ、と晃くんが楽しそうな表情を見せる。
いいなぁ、晃くんの彼女見てみたい!
写メでしか見たことない。
「やろうやろう!」
「ははっ、本人が1番乗り気かよ」
いやぁ、懐かしみたいじゃないですか。
晃くんなんて超久しぶりだし。
えーちゃんもお兄ちゃんも忙しかったのか中々帰ってこなかったし。
─旧友の晃くん─
(嫁については馬鹿にしたように笑ってきました)
「ていうかつき合ってたんだな、瑛太ロリコンかよ」
「ロリコンではない」
「いや、考えて見ろよ、俺ら高校生のとき真琴小学生だべや」
「(そう考えると一気に犯罪臭が……!)」
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