いったいここは
どこなんでしょう?
「休みだし出かけるべ」
えーちゃんがそう言いました。
嬉しくて跳ねてたら「アホか」って言われたけど気にしない。
そして、出掛けて。
人混みに紛れてえーちゃんはいなくなりましたとさ。
イエス、迷子。
私が迷子。
「えーちゃんどこぉぉ」
『真琴に言っても来れないでしょ、真琴がどこにいんの。何か目印は?』
電話の向こうからの声だけが頼りだ。
周りを見渡す。
「おっきい看板がある。色っぺえ姉ちゃんの」
『っふふ、突然おっさんみたいな声出さないで、ビビるわ』
笑ってるじゃないですか。
というか突然出したおっさんボイスに周りの視線が痛いわ。いやぁね。
『とりあえずそんな遠くないだろうし探すわ。地図アプリとかで現在地わかったら送って』
「はぁい」
通話が切れる。
私そういうアプリ使ったことないから使い方わかりません。
周りには人、人、人。
人混みだぁ。
田舎者には都会って未知の世界だわ。
都会コワイ。
……こっちに来てから大分経つけど。
えーちゃんからの連絡を待ってそわそわしていると人にぶつかった。
その人を見上げると、金髪の男の人。
ヤンキー、ヤンキーだ!
チャラそうなヤンキーだ!
やばい、かつあげされる!
……それはないか。
でも恐いよなぁ、こういう人。
「すっ、すみません!」
「俺は大丈夫、気をつけてねー」
あ、優しい人だった。
にこりと笑いかけてくれる。
喋り方はゆるかった。
……ん?何か違和感。
「君、1人なの?」
「えーと、」
「真琴」
あ、来た。
よくわかったなぁ、あんな目印だけで。
愛なの!?愛故!?
「えーちゃあん!」
えーちゃんの元に走っていくとえーちゃんは、誰、と金髪のお兄さんを見る。
「さっきぶつかっちゃったの」
「あぁ、迷子だったの?良かったねぇ、彼氏さん見つかって」
優しく微笑んで、ばいばいと手を振ってくれた。
見た目で人を判断しちゃいけないね。
金髪のお兄さんは見るとにこりと笑ってくれた。
「何、あの人気になるの?」
「ヤキモチぷくぷく妬いちゃった?」
「何それ。妬かないよ」
妬いてくれてもいいじゃない。
あの金髪のお兄さん。
どこかで見たことあるような気がする。
声も何となく耳に馴染むし。
「何か知ってる気がしたんだけど、あの人」
「大学同じ人なんじゃない?真琴、総合大学なんだから広いし、見たことあるだけの人もいるっしょ」
「あー、そうかも」
えーちゃんはぎゅうと手を握って、歩き出す。
わぁい、手繋ぎデート!
迷子にならないようにかな!?
─迷子の迷子のお嬢さん─
(怪我の功名というやつですかな)
「どうしたの、翼くん」
「ん?知り合いがいただけ、」
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