“部活加入必須制”
そんな肩書きの学校に入った。
ただ、楽しそうだった……入りたい部活があったわけではないけれど。
何か部活に入って、青春をして……あわよくば恋なんかしちゃったりして。
3年間を楽しく過ごしていきたい、そんな軽い気持ちで入った。
あ、あと中学の時はセーラー服だったからセーラー服以外の制服を着たいなぁとか思った。
退屈な入学式を終えて、教室でみんなの自己紹介を聞いて。
「桐谷梓【きりたにあずさ】です」と自分も自己紹介をする。
明るいクラスっぽいなぁ、良かった。
暗いクラスだったら嫌だよね!
部活加入必須、というだけあって部活動は盛んだ、とのこと。
配られた学校案内の小冊子には様々な部活の紹介が載っていた。
うわぁすごい、中学のころとは比べ物になんない……
登山とかもある。部活というよりは大学のサークルにイメージが近いかも。
「ねぇねぇ、桐谷さん! 部活決めてるー?」
初日が終わりパラパラと帰り始めている中、可愛らしい少女が私に話しかけてきた。
リボンのついたカチューシャが印象的で、かなり顔立ちも良い。おまけに自己紹介でも人懐こい印象を受けた。
名前はたしか……溝渕さんだ、溝渕天音【みぞぶちあまね】さん。
「ううん、まだ決めてないんだよねー」
「良かったら、一緒に部活見て回らない!? 天音、桐谷さんと仲良くなりたいなぁ」
ふにゃり。
可愛いなぁ……
「うん、いいよ! 一緒に回ろう!」
「やったぁ!」
立ち上がって荷物をしまい、溝渕さんと一緒に教室を出た。
さっそく可愛らしいお友達ができました。
「溝渕さんは部活何か考えてる?」
「うんっとね、弓道! カッコいいなっていう動機だけどねー。桐谷さんは?」
「私はまだ考えてないんだー、ふらっと見て考えようと思って!」
「そうなんだ! あっ、梓ちゃんって呼んでもいい? 天音のことは天音って呼んで!」
名字で呼ばれるの苦手なのー、と笑った天音ちゃん。
もちろんいいよ、と肯定して私も笑う。
やっぱりみんな部活の目処はつけているのかな。
グラウンドではたくさんの部活が活動していた。
1年生が見学できるように、かな? おかげでグラウンドは人がたくさんいる。
- 2 -
[*前] | [次#]
ページ: