もう少しでレーンの近くへと戻れるところで、相川先輩と目が合った。少し休憩をしていたようで。
私と視線が合ったことで少しだけ笑顔の仮面を崩した相川先輩は目を逸らす。
学校内で見かけても目を逸らされたり無視されるんだよな。
結構傷つきます。
「少し休憩ー!」
丁度陸上部に戻ったところで枢木部長の言葉が聞こえた。
あぁ、丁度よかった。
皆芝生に座り込んで休憩する。近場の水飲み場に行って水を飲んでいる人もいる。
そういえばいつも飲み物を持ってきてくれる佐々木先輩をはじめとするマネージャーさんたちがいない。
……ちょっと部室前の水飲み場に行こうかな、様子を見に行くついでに。
ゆっくりと芝生に座り込んでいた腰を持ち上げて、私は歩き出した。
道の途中で、佐々木先輩を見かける。
あれ1人だ。1人で大量の飲み物を運ぼうとしている。
「……佐々木先輩。他のマネージャーはどうしたんですか?」
「……桐谷さん。他の子は部室で別の仕事してもらってるよ」
沢山の飲み物を運んでいる佐々木先輩に近付く。
私に気が付いた佐々木先輩は、相川先輩のこともあってか、曖昧に微笑んだ。
「運ぶの手伝いますよ」
「ありがとう。でも大丈夫、大会に向けて練習するといいよ」
佐々木先輩は私の言葉をするりとかわす。私を拒絶しているようにも感じる優しさのような言葉に私は少しだけ眉をひそめた。
聞きたくて、気になって。
私は、口をゆっくりと開いた。
「あの、相川先輩って――……」
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