相川先輩の秘密を知ってしまった次の部活では、彼は仕事があったのか部活には来なかった。


 今日も当然のように部活が開始して、相川先輩はいなくって。


 枢木部長の合図で、みんなが陸上用の400mレーンを回りだす。
 5周。大分体力がついた気がしても、まだまだ5周は辛いものだ。


 走り終えて、休憩して。
 ストレッチも兼ねて100mを走る前に伸びをして一息ついていると、悠々と相川先輩がジャージ姿で現れた。


「あれ尚志、今日は仕事ないのか?」
「うん、ないよ。部活始まっちゃってんね、レーン走るの邪魔だろうからグラウンドぐるっと回ってくるわ」


 この学校、グラウンド広いから1周だけでも結構辛いんだよなぁ。隣森のとこもあるから虫かなり飛んでるし。


 ふい、と相川先輩は枢木部長から目を逸らす。逸らして、ゆっくりとしたペースで走り始める。

 枢木部長は苦い顔をしてため息を吐き出して、相川先輩とは反対方向、100mレーンへと歩いてくる。


「はいじゃあまずタイム計測するぞー」


 100m選手の生徒たちに呼びかけて、枢木部長は首をぐるりと回した。

 何度か走ってタイムを計測する。
 20秒弱、大分平均に近付いてきたのではないだろうか。最初からしたらかなりの進歩だろう。


 他の人が計測している休憩中にグラウンドを虫を払いながらぐるりとまわる。
 ペースを乱さないようにゆっくりと、他の部活を見ながら走っていく。


 サッカー部が活動している場所の近くで、まどかと目が合ってまどかは笑顔で私に手を振った。
 私も応えるように手を振り返してみる。

 隆文くんは他の部員と声を掛け合いながら練習に励んでいた。


 まどかも隆文くんも頑張っているようだ。



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