親に嫌がられて捨てられても狼はやっぱり泣きませんでした。

私も罪滅ぼしのように狼のそばにいようと家を離れました。

私のせいだという度に、狼は私のせいじゃないと怒りました。
それは優しさなのか愛なのかはわかりません。

狼はずっとずっと、私のそばにいてくれました。

「あいしてる」

私も狼も、その言葉は絶対に口にしませんでした。
関係が壊れるのを恐れて、世界を敵にまわすのを恐れていたのかもしれません。


だけど、互いに大切であると、言葉にせずともわかっていました。

「あいしていたよ」

そう言った狼の表情は見えなかったけど泣いているような声でした。

狼になった少年が泣いたのは、2度目でした。



 

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