「……俺はただマツバと一緒にいたかったんだ。マツバを1人ぼっちにしたくなかった。でももう、今はリオがいてくれるから」 ──死んでも、大丈夫。 ノアは、笑う。 己を諦めた彼は優しく笑っていた。 「でも、悪夢病は完成りするまでは生死不明ですけど、完成りした後死ぬようなことはないんじゃ、」 「“普通の忌み子”ならね。俺は人の病原体を盗んでたから。完成りした後も病原体を蓄積し続けてるんだと思うよ」 至極当然のように、普通に。 さらっとノアはカグラに説明する。 驚いた顔をするカグラにかまわず、ノアは優しく笑い続ける。 「……何でそんな、自分にメリットのない、」 「俺はお人好しだからね、苦しんでる人を放っておけないんだ、でも 俺は早く、死にたかったのかもしれないね」 「……は?」 「なぁんて言ったら、マツバ、怒っちゃうかな」 ユウトがカグラを呼んだ。 彼女は切なげな顔をしてノアを見る。 「さよなら。もしこれからマツバに会うことがあったら、よろしくね」 彼女と仲良くしてあげて。 ノアは小さく、カグラに告げる。 ← → back |