彼のその言葉は 非情で。 無情で。 最低で。 正論。 ノアが言葉を音にする前に、カグラがユウトの銃を下げさせて目を伏せた。 「殺す必要ないよ」 「こいつが安全だなんて、言い切れないだろ」 「そうだけど……わざわざ殺す“必要”がないって言ってるの」 カグラの言葉にマツバは首を傾けた。 どういう意図で少女がその言葉を口にしたのか、わからない。 「……ごめん、マツバ、ごめん」 ノアが泣き出しそうな顔をマツバに向ける。 自分のせいで付いた歯型の傷跡を撫でて、繰り返し謝罪した。 「大丈夫だよ」 「大丈夫じゃない」 「ノア、私はね、ノアが満足するなら私はどうなったっていいの。それで私の罪がなくなるなら、私をどうにだってしてほしいよ」 優しく狂ったことを告げるマツバに、ノアは酷く顔を歪めた。 ──これは君の罪じゃないだなんて、何度伝えたって君は受け入れてくれないのでしょう。 ← → back |