大切なもの | |
「ノア、は何を食べて生きてるの?」 リオがまっすぐとノアを見て質問した。 「それはね、マツバの愛情だよ」 幸せいっぱいの表情でそういった瞬間、マツバの拳骨がノアの頭にヒットした。 彼は痛みで倒れ込む。 空は真っ暗で。 近くにあったバンガローを借りて一晩を過ごすことにした。 マツバが布団に潜り込むやいなや、ノアが音を立てて立ち上がった。 「ノア?」 「人狼の遠吠え」 その言葉に、マツバは耳を澄ます。 微かに聞こえてきた遠吠え。 人を殺す相談でもしているのだろうか。 「……助けてって言ってる」 ノアがそう言ってすぐに、ちょっと様子みてくるといってバンガローから姿を消した。 その音にリオが眠たそうに目をこすった。 「……どこいったの?」 「ちょっと変みたいだから様子見にいっただけ。すぐ戻ってくるよ」 マツバはリオを撫でて、笑う。 口で描いていた弧を消して、俯いた。 ← → back |