3-2:そばにいる[ 11/18 ]
有無を言わせない迫力のある言い方が私を冷静にさせた。
黙り込む2人組を無視して視線を裏方の方へと移した玲に引っ張られ、裏方の方に連れていかれる。
「……」
「えっと……ありがと」
「お前客を蹴ろうとしたろ」
……ご名答。
図星で声が出ない。
暴力は駄目だって、わかってるんだけどね。
条件反射っていうか……
「お前見た目に反して暴力的だよな」
「見た目は大人しそうってこと?」
「まぁそうなんじゃね?」
でも、なんか、意外かも。
寮に来てからほんの少しだけど……それでいてわかる彼は。
女の人を自分の欲の発散ために利用しているとしか思えなかったから。
だから、助けてくれるとは思わなかった。
「お前、もう女の接客と裏方だけしてろよ」
「いや、それは……」
メイド喫茶って主に男の人相手じゃないの?
行ったことないけど普通に考えたらそうだよね?
メイドとしてどうなんだろう。
女の子だって主に3人が目的で来てるのに……私が相手じゃ可哀想だよ。
なんで女が来るんだよってなるよ。
「『それは』……何?」
な、なんか怒ってる……?
「な……何でもない」
逆らったら後が怖そうな感じ。
というか、まず逆らえない。
怖い、よ?
「人が足りなくなって、しょうがなく男の接客の時はもっと離れて接客しろ。いいな?」
「……はい」
いいえ、なんて言ったら……怖い雰囲気だけで殺されそうだ。
玲はまた少しため息をついて仕事をお客の元へと歩いて行った。
猫をかぶったような、性格の悪さを隠した格好いい対応だね。
「ありゃりゃ。怒られちゃって」