3-2:そばにいる[ 6/18 ]
「今日の晩ご飯は何?」
笑顔でそう言い放った賢ちゃんに、私は目を丸くした。
……はい?
それだけのために……呼んだの?
叩いて良い?
何のために私はダッシュをしたのか。
くだらないことに校内放送を使わないでください理事長である綾子さんにちくればどんな楽しいことが起こるのだろうか。
私の怒りに気付いたのか、慌てて賢ちゃんは私に紙を渡す。
「えっとね!? 本題はこっち!」
私は渡された紙を見る。
……ミスター&ミス逢坂?
「さっきコレ渡されてさ」
賢ちゃんは説明を始めた。
「学祭中に生徒や一般客が投票して、学園1の美男美女を決めるって行事らしい!」
「へぇ」
らしい、って。
あれ、賢ちゃんって今年からここに来たのかな? 行事知らないってことはそういうこと?
「これをクラスの奴らに説明してきてね! よろしくー」
クラス委員長を呼ぼうよ。
……今更そんなこと言っても仕方ないけどね。
私は職員室を出て、家庭科室、教室の順番でそのことをみんなに説明した。
準備は着々と進み、あっという間に学祭当日になった。
準備期間って時間経つの早く感じる。
「すごい盛り上がってるね! これが高校の学祭!!」
目をキラキラさせて、裕太が喚起の声を漏らす。
「俺の所の中学はすっげ地味だったなぁ」
「まずさ! あの、1番決めるあれやっちゃおうよ!」
「ミスター&ミス逢坂か」
「そうそう!」
まだ仕事の回ってこない3人は教室からバタバタと出て行く。
……なんだかんだいってあの3人仲良しだよなぁ。
たぶん「仲良いね」って言っても否定されるんだろうけど絶対仲良いでしょ。
なんか今も一緒に行動してるし。
一緒にどっか行ったし。