3-2:そばにいる[ 1/18 ]

 クラスでのホームルーム。
 今日は賢ちゃんが教壇の上に立っているわけではなくて、クラス委員長と副委員長が教壇の前に立っていた。



「何か意見はありますか?」




 今は、学校祭の時期。


 そういうわけで、クラスで何をするか決めているわけだけど……なかなかこういう時って意見でないよねぇ。



 智くんは本読みだしちゃってるし。
 裕太は暇そうに爪をいじって遊んでいるし。
 玲は寝てるし。

 賢ちゃんは回転する椅子に座ってグールグルしてるし……教師に見えないから。
 子供かっ! ……あ、回転しすぎで落ちた。


 賢ちゃんの行動に、クラスに笑いが起こる。



「あぁ……えっと、なんでも良いんだぞー。何か意見出せお前ら!」


 遊んでる人に言われたくないよ?


 隣の裕太がスッと手をあげた。



「執事とメイド喫茶なんてどうですか」



 真顔で何言ってんだ、この人。




「おぉ、いーねぇ。他の意見は? ない? なら決定で良くね?」



 いーねぇじゃないよ。賢ちゃんあんたそれでも教師か。
 他の意見は出なくて、裕太の意見に決まった。



「1週間授業ないからなー。よーし、準備すんぞ。てか、しろ」



 そういって賢ちゃんは回転する椅子に座って軽く回しながら雑誌に目を傾ける。
 無意識なのか意識的なのかわからないけど、ゆるゆると回転椅子を左右に動かしながら。

 やる気ない人だなぁ……



 担任なんだから手伝おうよ。
 学生中心の行事といえど。


 賢ちゃんの言葉を聞いて、クラス委員長はクラス全体に言葉を投げかけた。



「じゃあ、裏方と接客の2つに分けます。男女それぞれ半分に分かれるように決めてください」




 委員長の言葉で女子は女子で集まることになった。
 女子の元に行く時、玲がまだ寝ていたので起こす。



「玲、起きなよ。役割分担するんだって」
「あ……? やくわりぃ?」



 
 声に力がないな……寝起きだからか。



「学祭の役割! ほら、男子はそっち」
「あー……うん……」


 玲は立ち上がり、ふらふらと歩いていく。
 ……大丈夫かなぁ?



 っと、心配してないで私も参加しなきゃ!
 私は慌てて女子の方へ向かった。



「料理ができない人は接客だよねー。料理が得意な人は裏方!」



 女子をまとめるのは副委員長の上原千夏【うえはら ちなつ】ちゃん。とてもしっかり者。



「はいはい。じゃあ、こっちに料理できる人、こっちはできない人。分かれてみよう!」



 千夏ちゃんの言葉でみんながゾロゾロと動く。
 私はいつも料理してるから、裏方だね。



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