2-2:雨嫌いsideK[ 5/9 ]

 何が言いたいんだ?

「お前は、それで幸せなのか?」

 その言葉で、玲が言いたいことはだいたいわかった。


 こいつが言いたいのは、ただ1つ。


 あの人のこと。
 

 きっと、俺はもう忘れるべきなんだ。
 あの人のことを――……


「……幸せ、だよ」

 俺は1言で返事をする。
 その言葉はどうにも断定的ではなくて、発した自分でも驚くぐらいには弱弱しかった。

 俺の言葉に玲は「そうか」と言って黙り込む。

 少し経って、玲の顔に笑みが生まれた。
 優しいとか、そういう言葉で表現するものではなくて、玩具を見つけた中学生くらいの、クソガキの笑みだ。


「てか、お前がまさかロリ……」
「違う」
「違わなくねぇ?」
「7歳くらいしか離れてない……」
「ふーん、あっそう」


 てかそういう好きじゃないっての。くそ、ニヤニヤすんな。

「あーいうタイプは好かれやすいからな。全員に好印象みたいだし? 俺を除いて」


 お前、本当に洞察力すげぇや。なんか、そこは尊敬する。他は尊敬できないけれど。


「そんなこと言ってるけど、本当はお前もー……」


 言葉を言いかけたところで、玲の部屋のドアをノックする音。
 がちゃ、とドアが開く。


「……玲?」




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