2-2:雨嫌いsideK[ 3/9 ]

「お前さぁ、疲れない?」
「あぁ?」

「本当の自分隠して疲れないのかってこと。好きでもない奴片っ端から相手にしてすぐ捨ててさ。男女どっちにも恨まれてるんじゃねぇ?」


 小さい頃はこんなんじゃなかった。
 感情がすぐ表に出る無邪気なガキだったはず。いつからこうなったかといえば、すぐに答えられるわけだが。
 普段は平然としてるけど、雨の日になったらいつもこう。

 玲は顔をあげ、俺を睨んだ。


「うっせぇな。何が本当の自分、だ。アホか?」

 お前に言われたくねーよ。

「……“亜実”って寝言言ってたってよ」
「あ?」
「今日、屋上で。華が言ってた。お前、」



 玲は立ち上がり、俺の襟を掴んだ。



「『お前、』で、次は? 何が言いたいわけ?」


 玲は手に入れている力を強める……ちょ、首しまってるんだけど。


「いつまで亜実の事を引き摺るんだよ?」


 変わったのは、そう、“彼女”が原因だった。
 こいつは、まっすぐで馬鹿だから。


「引き摺ってねぇよ。あんな奴、大嫌いだ」


 そうやってすぐ、傷つくんだろう?


「引き摺ってるじゃん。思い切り」
「……」


 あぁ、本題忘れてた。
 亜実、のことなんてどうでもいいだろ今は。俺が言いたいことは、ただ1つです。





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