2-2:雨嫌いsideK[ 2/9 ]

「おい。入るぞ、トラブルメーカー」


 返事も聞かずに部屋に入る。


「……んだよ、トラブルメーカーって」
「いや、そんまんま」


 今のお前にピッタリじゃん! ……じゃなくてだな。


「何? 昼休み喧嘩したーとかいうこと引き摺ってんの?」


 お前らしくもない。
 そう言ってやれば机に突っ伏した玲が返事をする。


「気分が……悪いんだよ」


 声を聞いてもわかるほど、テンションの下がりよう。


 あぁ、今日は、雨降ってるからか。
 雨の日は鬱の日。こいつは雨が嫌いらしい。

 たしか……「雨は音で他の音をすべて消してしまうから」だったか。
 なんですか病んでる子ですか? 高校生にして中二病でも患ったのですか?

 まぁ、孤独が嫌いだからなぁ……こいつ。
 音って重要だよな……音が聞こえなければ、何も気付くことが出来ない。

 失ったことにも、気付けないことだってあるんだ。
 雨は、俺が帰ってる途中に降り始めたからなぁ。


「……だるい。寝る」
「おいおい。風呂は? それに、折角華が飯作ってくれたのに」
「風呂は……明日の朝に入る。飯は、お前が食え」

 まぁ、俺はいくらでも食べれっけど……たくさん平らげちゃいますけど。





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