4-4:彼女への伝達方法は[ 1/10 ]

「おーっすお前等よく聞けぇ。学食1ヶ月無料ってのなくなったからー」

 朝、ホームルームの時間になって現れた賢ちゃんが突然言った言葉に大きな反応を示したのは……

「えー!? 何でですかぁ!?」

 ちなだった。
 裕太曰く、すごくすっごく喜んでたみたいだしね。


「でもよー、せっかく1位だったのに何もなしかよー? 何かないの平川ぁ!」


 ちなに乗って、クラスの男子も少し文句を言い出す。
 それは波のように連鎖して、あちこちから文句が聞こえてくる状態となった。
 ……大変だね、賢ちゃんも。

 裕太がさりげなく賢ちゃんに「アホ教師ー!」とか笑顔で投げつけてるし。今は関係ないでしょそれ。

 賢ちゃんは「はいはい静かにね。」と言ってビシ、と上を指さす。……決めポーズ?


「学食のおばちゃんが入院したからなぁ。その代わり! 明日ケーキバイキングにご招待! っつうことになりました。あ、参加は自由だぞー。理事長太っ腹!!」


 あ、賢ちゃん嬉しそうだ。
 甘い物大好きだからね、良かったね。


「今からそれについてのプリント配るからなー」


 上機嫌で賢ちゃんはプリントを配り始める。
 そのプリントには集合場所とか時間とかが書いてあった。

 ケーキバイキングかぁ……
 楽しみだなぁ……


「うわぁい! 楽しみだなぁ!! 智ちんと玲ちんは行かなさそうだねぇ……苦手そう」

 裕太が嬉しそうな表情を浮かべつつもにやにやと悪そうな笑みをちらちらと2人に向けていた。


「俺は……」


 玲は言葉を止めて私の方をちらりと見る。
 そして、にっと笑って「行く」と言ってプリントに目を移す。

 ……遊園地のときから、玲はいつも通りだ。
 夢だったの? あれって。


 それともふざけて言った?
 ……そんな風には見えなかったけど。




prev next
しおりを挟む
back
「#学園」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -