4-2:俺はお前が、[ 7/8 ]

 私は……玲のことが……

 好き、なのだろうか?


 異常がないことがわかった観覧車は再び動き出す。


「……委員長がお前を誘った時、意地になってただけなんだよ」


 玲が小さく呟く。


「2人で観覧車乗ってるのを見て、苛ついた。楽しそうにしているのを見て、嫌になったんだ」


 玲の顔は見えない。けど、鼓動がすごく早いのが近さからかすぐに感じた。
 ねぇ、君は……今どんな顔をしているの?

 近くて、耳元で彼が私に小さな声で喋りかけるから、私はくすぐったくてむずむずする。


「委員長の野郎にめちゃくちゃ嫉妬、してた。悪ぃかよ……!」

 意外だ。玲が、順平に妬いていた……?
 誰も、悪いなんて言ってないよ。言ってない。


「好きだ。俺はお前が……華が、好きなんだ……っ!」


 抱きしめる力が強まる。人のぬくもりが、優しく感じた。あたたかくて、もっとくっついていたい。私も手を回して、ぎゅうっと抱きしめたい。
 あぁ、この感情は、私は……玲が好きなんだ。
 今、“嬉しい”そんな感情が出てきた。初めての感情に、どくりどくりと心臓が高鳴った。


「玲……」


 何かを言おうとして、やはりと言葉を止める。
 もしここで好きだと言ってしまえば……きっと、今幸せだろう。

 しかし、その後は? どうなってしまうのだろう?
 裏切られないと言い切れる? 離れていかないと言い切れる?

 少し前に、両親の離婚を見た。


 それから、恋愛が怖くなった。したこともない恋愛が、怖いものなんだって思ってしまったのだ。
 裏切られたくない。離れていきたくない。
 それなら、言わない方が、いいのかな。

「……あの」
「華! ……今は、返事いいから。つーか、やめて。情けねぇけど……すぐは怖い、から。時間を、くれ」




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