4-2:俺はお前が、[ 6/8 ]

 おでこじゃなくて、唇に……
 私は反射的に玲を突き飛ばす。玲が倒れた反動で乗っていた観覧車が大きく揺れてしまった。

 何? 顔が、熱い。



“1番上でキスをすれば永遠に結ばれるってジンクスがあるんだ”



 ふと、順平の言葉を思い出す。
 ここ……1番上……?

 玲は、それを知らずにやったんだろうけど。
 ん? 上?

 そう言えば観覧車は私たちが1番上の所から動こうとしてくれない。さっきの揺れで、一時的に観覧車は止まってしまったらしい。
 高い、1番上で。


「……どうした?」


 息を詰まらせて、縮こまる。縮こまった私を玲は驚いた顔で見ているのかもしれない。
 私は小さくしゃがみ込む。恐怖は消えはしないけれど。

「……お前、高所恐怖症?」

 玲の言葉にコクコクと必死に頷いた。
 すると玲は私を……強く、抱きしめた。「こうすれば怖くないだろ」と言って。それは子供をあやすくらいに優しくて、馬鹿みたいだって思った。思ったのに……嫌では、ない。
 さっきのキスも、驚いたけど嫌ではなかった。
 それどころか、マイナスの感情が湧き出るどころか、安心して、心がぽかぽかする。


「委員長と、観覧車乗ってさ……何もされてない?」
「え、うん……」
「そっか」




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