4-2:俺はお前が、[ 5/8 ]
そういって深くかぶっていた帽子を取ったのは、玲だった。
眼鏡を掛けている。え、玲って目悪かったの? それとも伊達眼鏡? うん、伊達眼鏡っぽい。
「……なんでいるの?」
「さぁ、何ででしょーか」
そう言って笑う玲。でも、目が笑っていない。
どうかしたのだろうか。
「れ、玲? なんか、怖いけど……怒ってる?」
「さて問題です。俺は何でこんな所にいて……何で、怒ってるんでしょうか?」
あぁ、やっぱり怒ってるんだ!?
あ、あれでしょ?
「昼ご飯を作っていかなかったから!」
「不正解。阿呆か?」
後の言葉必要ないと思うんだけど!!
ピリピリしてて怖い! 早く正解しないと……
私は思いつく限りのことを口にしていく。
「えっと、えっと……あ、朝起こしていかなかったから!? それとも、昨日の夕飯手抜きだったから!? 昨日掃除中にリビングの花瓶割ったことを黙ってたからかも……あ、嫌味の仕返しに玲のシャンプー隠したこと!?」
「不正解。あぁ、犯人華だったのかぁ? やることちっちぇーな」
あ、違った!? 怒り倍増させた! いろいろ暴露したよね私!?
玲が立ち上がって私を見下すように見る。
「答え。知りたい?」
「えっと……」
「知りたいんだよな?」
「……は、はい」
拒否ができないような怖い顔で笑って見てくる。私は目を下へと逸らして肯定の言葉を口にしてみた。
玲は私に近付いてきて、私の顔の横に手をつく。
――刹那。
ちゅ、と軽いリップ音が鳴った。
一瞬、何が起きたのか理解が出来なかった。
……キスを、された?