4-2:俺はお前が、[ 1/8 ]

「加賀、良かったら……一緒に遊びに行かないか?」


 その言葉に、私ペンケースをがしゃりと落とした。
 私の机の前にたち、その言葉を言ったのは

 エロ王子な玲ではなく(何故か机に教科書を叩きつけた)
 さらっと爆弾発言する裕太でもなく(何故かシャーペンを折った)
 もちろん智くんでもなく(特に変化なし)
 最近元に戻った賢ちゃんでもない(よそ見してたらドアに衝突した)

 クラス委員長の川谷くんだった。
 川谷くんは真面目な爽やか少年だ。いい人だよ……うん。

 授業が終わるやいなや立ち上がって私の席に来るものだから、クラスのみんなの視線はこちらに。


「こんなのをデートに誘っちゃうのか、委員長?」


 玲が馬鹿にしたように言う。
 こんなのって言うな、失礼な。


「遊園地のチケットもらったから……」


 川谷くんは照れくさそうに言う、こんな反応は寮でありえないから新鮮だなぁ、と思った。


「もらった? 自分で準備したのはばればれだよ?? 僕の前でそーんなことするなんてすごいね?」


 裕太、何がすごいんだ……
 川谷くんは睨んでくる2人に対して怖がりつつ「どう?」と聞いた。


「華! 駄目だぞ!? お父さん許しません!」
「誰がお父さん?」



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