4-1:自意識過剰女[ 4/6 ]


「俺さぁ、1人に縛られるとか嫌いなんだよね」


 まるで、返ってくる返答がわかってるような言い方。
 菜々ちゃんは「セフレでもかまわない」と言う。玲はその言葉を聞いて妖しく笑う。
 予想通りの回答だったのだろう。


「それなら……ただ、ぜってぇ優しくなんてしねぇぜ」


 あぁ、なんだ。
 裕太が言ってたっていう女遊びやめたっていうのは嘘だったんだ。


「いいの。私のこと好きって言わせる自信、あるもの」


 そう笑って菜々ちゃんは玲にキスをする。
 あ、この場所で、玲のキスシーンを見るのは2回目だ。

 ……なんか、見たくないな。
 よくわからないけど、胸がきゅうってなる。
 涙が出そうになって、こらえる。意味が、意味が分からない。


「……痛っ!」


 菜々ちゃんの声が静かな屋上に響く。


「キスしていいなんて言ってねぇ。つぅか、全部冗談だから。本気にしちゃった? ……お前なんていらねぇよ」
「噛っ……血出てるじゃない!」

「うわ、マジだ。ま、とりあえずその自信過剰な性格はなおすべきだと思うぜ? つぅか、あんたみたいなタイプはもう2度と好きにはならない」
「……っ最低! あんたみたいな悪い性格の奴、こっちから願い下げだわ!」



 ぱぁん。
 菜々ちゃんは玲を思い切り叩いてから屋上を後にする。


「……最近叩かれてばっかだな。あーもーうぜぇ」


 玲が笑ったような声でそんなことを言っていた。
 私のことだよね。
 てか、またうざいっていった。


「……中井が言ってたっていうことは本当だったみたい」
「あぁ、女遊びやめたっていうやつ?」




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