4-1:自意識過剰女[ 1/6 ]

 唐突ですけど、クラスも馴染んできただろうという賢ちゃんの粋な計らいのため席替えをした。
 まぁ秋にも突入しそうなこの季節、誰もが馴染みきっているとは思うけれど。

 そうしたら、隣が智くん。
 後ろが玲で、斜め後ろが裕太。

 寮メンバーで正方形が出来た。
 誰か仕組んだのかなこれは? 賢ちゃんかな?

 そういったら女子が席変われと責められた。何故私が責められるのだ。



 そして、放課後。
 由美とちなに帰るのを止められ、教室に残される。

 教室に残っているのは部活に入ってない女子……ほとんどの女子だけど。
 このクラス、部活に入っている人少ないんだよね。帰宅部ばかり。

 な、何があるんでしょうか?
 ドキドキしながら待ちかまえてみたけど、ただの雑談会……っていうか、恋愛話。

 時々みんなで残って雑談をするらしい。
 なんか変な密会じゃなくてよかった……楽しいクラスだね。
 恋愛に免疫がない私だけど、聞くのは大好きだし。よくいるよね、聞き専。


「ところで、華!」


 雑談を聞いてる時、突然私に話をふるちな。


「ずーっと気になってたんだけど、ぶっちゃけ3人の中で誰が好きなのよー?」
「はい?」
「最初は溝渕かなぁと思ったけどさぁ、いーっつも中井と仲良く話してるし、犬飼とはデートの目撃情報あり! どーなのよ? あ、意外に平川センセーとか!?」


 デート? ……あぁ、映画に行った話? 2人で出掛けただけでデートになるのかな……なるんだねぇ。


「なっ中井くんでも……私は何も言わないから大丈夫だよ……?」


 あぁ、由美って裕太のこと好きなんだよね。
 ……一緒に住んでて家族みたいなものだからなぁ。

 だって、休日なんて寝癖ぼっさぼさでリビングに出てきて1日中寝癖放置のときもあるからね。主に賢ちゃんと裕太が。あの間抜け顔、是非皆さんに見せてみたいものです……それすらファンの子は喜ぶのだろう。

 もう、私のこと家族の扱いになってるよね。他人の扱いじゃないよね。


「家族愛なら……」
「違うでしょうが! え? 何? 身近に学校トップ3がいるのに他の人を好きなの!?」
「好きな人、」


 こういうの私にふらないでよ。
 自分の話は苦手だから。
 好きとか……よくわからないし。


「溝渕くんは駄目だよ。私のだから」

 そういって綺麗に笑った人物。


「菜々っちは溝渕が好きなの?」





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